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「地域みらい留学365✕ミネルバ大学生 Minerva Japan Caravan 2020 ~カチカンヲアップデートセヨ~」開催レポート

 日本からミネルバ大学へ進学した3名の大学生の先輩たちが、人生の様々な局面に潜む ”無意識の思い込み” (Unconscious Bias)をテーマに2時間のワークショップを企画!参加者は5名の高校生。先輩たちが高校生に伝えたかったメッセージとは?先輩たちの姿から、高校生は何を感じ取ったのか?本イベントレポートでは、ミネルバ流オンラインワークショップの様子をお伝えします!


新しい大学の在り方を実現した「ミネルバ大学」と
新しい高校の在り方を実現した「地域みらい留学365」のコラボ企画!

 大学4年間を同じ場所で過ごすのではなく、7つの都市を移り住みながら学ぶ、そんな大学があるってご存知ですか?全寮制の4年制大学なのに、キャンパスも、授業も、テストもない。「大学」を思い浮かべる時、私たちが真っ先に思い浮かべるものがなんにもない。そんな「ありえない!」を可能にした大学。今、話題のミネルバ大学です。

 では、質問をもう1つ。高校を1年通った後、2年目で住み慣れた土地を離れて、自然豊かな地域の高校に国内留学して、3年目で元いた高校に帰ってくる、そんな仕組みがあるってご存知ですか?今年度から1期生の募集を開始した「地域みらい留学365」です。

VUCA (Volantility 変動性、Uncertainty 不確実性、Complexity 複雑性、Ambihuity 曖昧性) の時代に、教育の新しい在り方を追求した「ミネルバ大学生」と「地域みらい留学365」がタッグを組んで、高校1年生向けのオンラインワークショップ「Minerva Japan Caravan 2020 ~カチカンヲアップデートセヨ~」を開催しました。


「ミネルバ大学」と「地域みらい留学365」
実は、共通点がこんなにいっぱいあるんです。

✔ 学びを机の上の学習だけで終わらせず、地域社会での体験と紐付けることで実現した、知識 (学び)+経験 (実体験) を通した深い学び

✔ 様々な企業や自治体と連携したプロジェクトを通した体験型学習

✔ 多様なバックグラウンドをもった人との寮生活

✔「違い」に触れることで視野が広がる・自分の価値観に気づく体験


1. ミネルバ大学って?

「大学を1から作り直すとしたらどんな学校になるだろうか?」というアイデアから生まれた大学。全寮制の4年制総合大学ですが、特定のキャンパスをもたず、学生たちは4年間で世界7都市を移り住みながら生活します。授業は全てオンラインで行われ、90分の授業のうち教授が話していいのは、なんと10分だけ!学生主体の100%アクティブ・ラーニングを実現した「21世紀の大学」として今注目を集める話題の大学です。

アクティブ・ラーニング:学習者が一方的に講義を受けるのではなく、グループワーク、ディスカッション、体験学習などを通して、学習者が能動的に学ぶ学習法。


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(写真:”Forum:A  New Way to Learn” より引用) ミネルバ大学独自のオンラインプラットフォーム、Active Learning Forum。授業は少人数制。生徒は絵文字を使ってリアクションすることができる。投票、ブレークアウトルーム、画面共有など様々な機能がある。各生徒の発言時間が色で表示され、教員はどの生徒がどれだけ発言しているかを瞬時に把握することができ、誰に発言を促せばいいかが分かる。


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ミネルバ大学の学生は4年間で7つの都市に移り住みながら学ぶ。


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ミネルバ生)キャンパスもないし、テストもないし、授業もないし...。ないものづくしのミネルバにありそうなものって何だと思う?

高校生)アクティブ・ラーニング?

ミネルバ生)いいね!授業内も授業外も学ぶ場所。授業で学んだことを地域での活動に活かすことによって、アクティブに学ぶことができるのがミネルバ大学の特徴。例えば、地域のサッカーチームに所属してチームのバランスをいかによくするかを考えてみたり、インターンシップに参加したり、留学生がそれぞれの国の文化を紹介するイベントを企画したり。アクティブ・ラーニングをする機会がいっぱいあります。他には何か思いつくことってある?

高校生)全寮制?

ミネルバ生)そう!アメリカの大学って、国際色豊かって言っても留学生の比率って10%くらいが普通なんだけど、ミネルバ大学では学生の80%が留学生で他の大学とは比べもものにならないくらい国際色豊か。色んなバックグラウンドを持った留学生と一緒に寮生活ができるからこそ学べること、刺激を受けることがたくさんあります。

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2. バイアスって何だろう?

 今回のワークショップに参加した高校生には、事前課題が与えられていました。内容は「バイアス」について。各自が予め学んできた内容をもとに、ミネルバ生がディスカッションをリードしていきます。

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ディスカッションでは4つのポーズを使って
コミュニケーションをとります。


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ミネルバ生)”バイアス” って何だと思う?自分の言葉で言ってみて!

高校生)偏見?

ミネルバ生)そうだね。「偏りを生むもの」。文脈によっては、先入観・思い込み・偏見と解釈されることもあるよね。事前課題の中では、”私たちが合理的な判断をすることを妨げる脳のエラ” ーって表現されていました。

バイアスとは、自分の持つ印象などの影響によって、特定の人や物を不当に支援したり批判する行為である。(Cambridge Dictionary, 2020)

ミネルバ生)じゃあ、"合理的" って何だと思う?

高校生)思い込みとか偏った知識に惑わされないで、見聞きしたものから正しく、客観的に判断すること?

ミネルバ生)うんうん、いいと思う!じゃあ、バイアスがかかっていることでどんなことが起こるんだろう?

高校生)どういうことが起きるか...ですか?

ミネルバ生)そう。バイアスが与える影響にはどんなことがあるかな?

高校生)バイアスがあると、偏った味方をしてしまうので.... 難しいなぁ...。うーんっと、後から思い返して、変な判断しちゃったなって思うとか?

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 事前課題をもとに、「バイアスって何?」をみんなで考えていきます。教科書通りの答えではなく、高校生が自分の言葉で発言することを大切に、「自分の言葉で言ってみて!」「一言でもいいよ!」と、ミネルバ生から参加者へ、どんどん質問が投げかけられます。最初は戸惑っていた高校生たちも、ディスカッションが進むにつれ、緊張が解け、ちょっとずつ発言の数が増えていきます。


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ミネルバ生)事前課題の中で4つのバイアスを紹介したと思うんだけど、誰か覚えている人いる?

高校生)確証、注意、記憶、感情?

ミネルバ)OK!そうだったよね!

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 バイアスの意味をみんなで確認した後は、動画、ゲーム、アクティビティ、自分たちの経験を思い起こしてみる、など色々なアプローチで4つのバイアスについての理解を深めていきます。


◇ バイアスの例 ◇

 これは、実際に高校生に与えられた事前課題の一部です。高校生はワークショップに参加する前にこの動画を視聴しました。ぜひ、皆さんもワークショップに参加している気持ちになってこの動画を見てみてください。

<課題> この動画では、探偵が事件の犯人を複数の容疑者から見つけ出そうとする様子があります。事件の犯人は誰なのか。容疑者の中から探し出してみてください。

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”WHODUNNIT (誰の仕業?)” 上の画像↑↑をクリックすると動画のリンクへ飛びます。こちらのリンクからも、視聴できます。


◇ 4つのバイアス ◇

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確証バイアス (Confirmation Bias)
私たちが信じていることや信じたいことに対して、自分に都合の良い情報だけを認識し、都合の悪い情報を無視してしまう傾向のこと。

注意バイアス (Attentional Bias)
私たちが重要だと思っている情報、または誇張されている情報に注目し、その他の情報を見落してしまうこと。

記憶バイアス (Memory Bias)
虚偽記憶や、ネガティブな記憶ばかり思い出してしまうなど、
記憶に影響を与えるバイアス。

感情バイアス (Emotional Bias)
感情が私たちの認識や行動に影響を与えること。


 4つのバイアスについて学ぶと、上で視聴した”WHODUNNIT” に潜むバイアスが ”注意バイアス” だということに気がつきますよね。この動画の犯人はスミス夫人でした。事件が起こった時間帯のアリバイを聞かれた時、スミス夫人は「庭の小屋でペニチュアを植えていた」と答えましたが、「ペニチュアを植えるのは5月過ぎですよ」と探偵。夫人の嘘がバレてしまいました。この事件が起こったのは何月かは分かりませんが、登場人物の服装やストーリーの展開から察するにまだ5月にはなっていない。だから「ペニチュアを植えていた」という夫人の証言はおかしいということなのでしょう。

 でもこの動画、重要なのは”事件” そのものではありませんでした。”How observant were you?” つまり、この動画を見ていた私たちが ”どれだけ注意深く見ていたか?” というのが最も重要なポイントでした。

 動画の後半部でタネあかしされていますが、実はこの動画、つまり、21ヶ所も変わっている部分があったんです!!「犯人は誰だ?」ということに意識がいっていると、こんなにも見逃してしまう情報があるんだ、という”注意バイアス”の例でした。実際のワークショップでは、この動画意外にも、もっとたくさんの例を通してバイアスについて学んでいきました。


3. 身の回りに潜むバイアスを探せ!

 ミネルバ生と高校生、みんなで一緒にバイアスについての理解を深めた後は、小グループに分かれてグループディスカッションの時間です。高校生が1~2人のグループにミネルバ生が入って、身の回りに潜むバイアスを探すトレーニングに取り組みます。


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ミネルバ生)このスライドを見て、どんな「バイアス」がかかっているか考えてみてください。

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高校生)目上の人、先生があきらめちゃったらもう無理だっていう思い込みがある気がする。

高校生)指揮者の人に責任を追求している?

ミネルバ生)どちらも良いポイント!先生も1人の人間。先生が ”絶対” ではないのに、先生が諦めたらもうダメっていうのはバイアス、思い込みだよね。それに、指揮者こそ、主人公の男の子と同じ生徒のはずなのに、指揮者に1番責任があるって思い込んじゃってる。じゃあ、何で他の人にせいにしちゃうんだろう?人のせいにすることで、気持ちが楽になってる部分もあるのかな?

高校生)気持ちが楽?うーん...、とりあえず自分の責任ではなくなるので、てきとーにやっていることに対して胸が傷まないというか...。

ミネルバ生)ひょっとしたら、この主人公の男の子もっと出来ることがあるかもしれないよね。でも、それでもクラスが動かなかったら自分の責任になってしまうのが嫌で、指揮者のせいにしちゃおうって思っているところがあるのかもしれないよね。

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 小グループでのディスカッションを終えた高校生たち。思い込みを疑って、与えられたシチュエーションをじっくり見てみると、たった1枚のスライドの中にも色んなバイアスが潜んでいることに気がつきます。グループディスカッションが終わったら、全員で一緒に感じたこと・気づいたことの共有をします。


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ミネルバ生)このアクティビティをしてみて、何を感じた?

高校生)バイアスは自分が思い込んでしまうことって思ってたけど、世間の目や、他の人が持っている先入観も、自分のバイアスに影響していると思いました。

ミネルバ生)「世間の目」っていうキーワードが出てきたね。そう、自分が考えているより、まわりの人の影響を受けて決断している部分ってあると思います。




じゃあここで質問です。人が1日に決断する数って何回だと思う?




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ミネルバ生)なんと、1日に35,000回も決断をしているんだよね。つまり、2秒に1回、人は決断をしているってこと。

 そう考えると、バイアスを知らないと合理的じゃない決断をたくさんしてしまいそうって気がしてくるよね。そういうことを含めて、みんなにはバイアスを意識して生活してほしいなと思います。

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 アクティビティを通して、身の回りに潜むバイアスについてじっくり考えた高校生たち。最後はケーススタディを通して、みんなで ”社会に潜むバイアス” について考えます。

 下の2枚のスライドは実際に高校生に与えられたシナリオです。20世紀の米国では、オーケストラの楽団員の95%が男性でした。この事実に問題意識を抱いたオーケストラは、採用方法に問題があるのではないか?と考えます。

このアクティビティで考えるポイントは3つ。

① 既存の採用方法にどんなバイアスが働いているのか?
② 審査員「個人」ができる対策は何か?
③ オーケストラが「組織」としてできる対策は何か?

 では、皆さんもワークショップに参加している気持ちになって、一緒にアクティビティに取り組んでみてください。

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ミネルバ生)ここにはどんな「バイアス」がかかっていると思う?

高校生)演奏家といえば男性っていうバイアスがありそう。

高校生)目で見えちゃうと、視覚の影響を受けてる可能性もあるかも。

高校生)審査員の性別の比率も影響してそう。

ミネルバ生)じゃあ、どんな「対策」をとることができるかな?

高校生)目をつぶって審査するとか?

高校生)審査員側の男女比を同じにする?

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 高校生から色々な意見が飛び出します。みんなが出した意見を、ミネルバ生がホワイトボードに書き出していくと、たった5分の間にも色んな解決策が見えてきました。


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高校生の意見をまとめたホワイトボード


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ミネルバ生)ワークショップの前半ではバイアスについて話しました。私たちが伝えたかったことは、①バイアスはすごく無意識的に起こっているっていうことと、②対策を考えるときはまずは認識することが必要ってこと。

 たとえば、さっきみんなでバイアスを探すときに、「審査員に女の人が少ないんじゃないかな?」って言ってくれたから、対策として「審査員の男女比を同じにする」っていう意見が出てきたよね。だから、認識→対策のステップを踏むことが大切。そして対策をするときは2つの視点が必要で、③個人と組織という2つの視点をもつと対策が考えやすいよっていうことが、伝えたかったことです。

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4. 内省にかかるバイアス

 前半では、「バイアス」について学び、身の回りに潜むバイアス、社会に潜むバイアスを見つけるトレーニングをした高校生たち。ワークショップの後半では、「”内省” にかかるバイアス」について考えます。


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ミネルバ生)「内省」ってなんだっけ?

高校生)うーん、あんまりイメージがついてないです。

ミネルバ生)漢字ニ文字が並んでいるだけだし、たしかに、あんまりピンとこないよね。私たちは内省のことを、分かりやすく「振り返り」って言いかえています。でも、文化祭とかでの振り返りとかとはちょっと違って、ここでは、自分の過去を振り返って、今の自分は何で今の自分なんだろうって考えることを、内省・振り返りって呼んでいます。


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ミネルバ生)このスライドば、この女の子の過去を集めたアルバムの1ページだと思ってください。この女の子は「私は何で数学が好きなんだろう?」と今までの自分を振り返っていますが、この内省に潜むバイアスってどんなものがあると思う?

高校生)感情バイアス?褒められて嬉しい気持ち=数学が好きって気持ちだと思っているだけ?

高校生)記憶バイアス?記憶を思い出すときに間違って覚えているだけ?

ミネルバ生)そうだね。数学が好きな本質的な理由があるわけではないけど、嬉しかった気持ちが数学が好きな気持ちと思っているだけかもしれないし、実は、生まれて初めての100点じゃなかったけど、それくらい嬉しかったから、そう思い込んでいるだけかもしれない。それに、数学は好きだって信じたいから、数学が苦手って思うネガティブな記憶は捨ててしまっている可能性もあるかもしれないよね。

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 高校生へ質問を投げかけたり、今までされてきた研究の内容を見てみたり...。簡単なアクティビティをしながら、社会に潜むバイアス、偏見からくる圧力が、無意識のうちに私たちの内省に影響を与えてしまっていないかを考えていきます。


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ミネルバ生)「私はこういう性格だから、〇〇には向いてない」「私は◯◯なところがある。だから勉強できないんだ」という風に、”思い込み” を ”出来ない” 理由にしてしまうと、自分で自分がそこから先に進むのを止めてしまう。これは、「バイアスによる諦め」。でもそれって、とってももったいないことだよね。

 それから、例えば「私は国語が好き」と思っていても、「なんで国語が好きなの?」と聞かれたときに、「なんでなんだろう...」と思ってしまうとしたら、それはバイアス、思い込みからくる「根拠のない自信」。でも、根拠のある自信を持っていたら、どんな挫折があっても「私は〇〇だから、これが好きなんだ!」と胸をはって言える。そうやって根拠のない自信をどんどん、根拠のある自信に変えていくためにも、内省は大事だと思います。

 では実際に、みんなも内省をしてみましょう!


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ミネルバ生)内省っていうのは一連の流れ。ステップ1をした結果ステップ2になって、その結果ステップ3に辿り着く。だから、それぞれのステップはバラバラのプロセスじゃない。それぞれのステップがどういう風に繋がっているのかというと、

ステップ1は、「今自分が何を感じているのか」「何を考えているのか」「何をしているのか」という ”今” の状態を客観的に整理すること (現在)。
ステップ2では、「なぜ今自分はそうを感じているのか」「なぜ今そう考えているのか」「なぜ今そうしているのか」”過去” に遡ってその理由を考える (過去)。現在の自分を出発点として、 過去を振り返る。過去を振り返るときには、感情、記憶など様々なバイアスを受けやすいから、バイアスの影響を抑え込んで客観的に振り返るのがポイント。
ステップ3では、ステップ1・2を通して ”今までの自分” について振り返ることで、「自分はこういうことを大事にしているかも」と気づいた ”価値観” を ”素直に” 受け入れる。自分の感情に左右されずに、いかに素直に受け入れるかが大切。

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 内省の3ステップを学んだ高校生たちは、再度小グループに分かれます。グループに分かれたら、高校生はまず最初に、ミネルバ生の内省体験を聞いて、内省のメリットを実感します。その後、「学校」を思い浮かべてみた時に浮かんでくる ”感情” を切り口に、高校生たちも実際に「高校生活の振り返り」をしてみます。自身も内省体験をしてみることで、自分が大切にしている価値観を見つめ直します。


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ミネルバ生)じゃあ、今日は「学校」をテーマに内省をしてみよう。学校についての気持ちや、そこでの生活を振り返ったとき、学校の好きなところ・嫌いなところって何?

高校生)うーん、好きな所は、先生とか友達とか色んな人に会えることかな。嫌いなところは、みんなで足並み合わせるところかなぁ。

ミネルバ生)じゃあ、この内省を聞いて他の人はどう思う?

「色んな人に会えることを大切にしてるから、多様性を重要視してるんじゃない?」
「学校から多様性を見つけれるのって、すっごいポジティブな考え方!」
「嫌いなところが足並み合わせるところってことは、裏をかえせば多様性を大事にしてるってことで、学校が好きな理由に通じるところがあって面白い!

ミネルバ生)たしかに、好きなことと嫌いなことって、逆に見えて実は好きの裏返しが嫌いになってるところってあるよね。全く別のことに見えて、同じ価値観を表してるっていうのは新しい気づきだね!他の人の意見を聞いて、もう1度自分を振り返ってみて、感じたことってある?

高校生)自分がポジティブとか、多様性を大事にしてるって自分だけじゃ気づかなかったかも。でも、たしかに色んな人に会って、色んな価値観を知りたいって気持ちはあるのかもしれないなぁ。

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 「〇〇と思う!」という自分の気持ちに気がついたら、今度は、「何でそう思うの?」と問いなおす。そして、それを踏まえて「どう思うのか」を考える。「どこからそう思う?そこからどう思う?」を繰り返していくことで、高校生たちは内省をどんどん深めていきます。


5. 振り返り

 身の回りに潜むバイアスを知り、そのバイアスが私たちにどんな影響を与えるのかをみんなで考えた2時間。参加者はどんなことを感じたのでしょう?


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ミネルバ生)この2時間を通してどんなことを感じたか聞かせてください。


「何かを決める際に、自分の過去が全て影響しているということを知りました。1回冷静になること、過去の記憶をリセットして、色んなものをフラットに見て何かを判断する必要があると思いました。」
「私は授業がつまらないと文句ばかり言っているから、これまで自分は協調性がないのだと思ってたけど、グループで内省をした時に、”合理的な価値観を大事にしようとしているからじゃない?” と言ってもらえて、ネガティブだった感情が自分の中でポジティブなことに変換されてよかったです。」
振り返り自体にもバイアスが働いているというのが、確かになと思いました。さらに一段深ぼること大事だなと。同じ班の2人の話を聞く中で、”受験に必要かどうか” が合理性の判断になっていたけど、もっと先の未来まで考えることで、考える時間軸を変えると、何が自分の人生にとって合理的判断かも変わりそうな気がします。」


ミネルバ生)共有してくれてありがとう。「内省というプロセスを通じることでポジティブに捉えられた」と言ってくれていたけど、内省を通して気づいた価値観は自信の根拠になります。内省をすることで、自分についてもっとポジティブに考えられるきっかけができるのも、内省のメリットなのではないかなと思います。では、最後にミネルバ生の3人から高校生1年生のみんなへメッセージがあります。


◇ 高校生のみんなへ ◇

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「 今、高校生だからこそ感じる価値観をすごく大切にしてほしい。頭で考えるだけじゃなくて、豊かな感受性を大事に。”バイアス” とか ”内省” っていうのは、合理的、客観的って言葉があるから筋道を立てて自分について説明しないといけないと考えがちだと思うし、僕もそう思ってたんだよね。でもそうじゃなくて、今自分が何を感じているのか、なんでそういうことを感じているのか? 自分の中にある潜在的な部分を見つけるということを大切にしてほしいです。今日は内省は良いものっていう前提でワークショップをしたんだけど、本当にそうかな?って、その前提から考え直してみても面白いと思います。あんまり難しく考えないで、なんとなくやってみることで分かることもあるし、何でも良い点、悪い点があるから、その効果と限界について考える・感じるっていうことをしてほしいと思います。」


「私たちはバイアスにすごく影響を受けています。無意識のうちのバイアスが働いている例もあるし、環境によって自分たちの思い込み、バイアスがつくられているってこともあります。私はそれに苦しめられた過去があります。私の家族は保育園を経営していて、家族みんな保育園で働いているから、自分はずっと保育士になるって思ってました。でも、ピアノが弾ける、子どもと接するのが上手いっていうだけで、何で保育士になろうと思ってるのかっていうのをしっかり考えていたわけではなかったし、それ以外の進路を探そうとしなかったんだよね。でも、その世界しか知らないとその価値観だけって思ってるから、別の価値観って自ら知っていかないと気づかない。そして今、私は物理に興味があって、理系の進路も考えはじめていて、保育ではない道を選びつつあります。今日参加してくれた高校生のみんなも、このワークショップを通してちょっと視野が広がったんじゃないかなって思います。だからこれからも内省を続けて、その時の”価値観”を見出してほしいって思います。」


「今日、こうやって ”地域みらい留学” とのつながりでみんなと一緒にワークショップができてよかったです。”留学”っていうと、どうしても海外が思い浮かぶし、その中でもアメリカ、カナダっていう国を考えがちだと思います。でも、留学を通して新しい価値観に触れたい、刺激を受けたい、外の世界に行きたいって思ったときに、浮かんでくる選択肢って、海外留学だけじゃないって思う。膨大なお金をかけて、飛行機に乗って海外へ行くことだけが冒険じゃないと思います。例えば、地域みらい留学で離島で暮らすとか、森の中で過ごすっていう経験も、海外ではできない体験に出会えるチャンス。だから、自分の経験にコンプレックスを絶対に持たないこと。自分がどんなに小さい経験をしていても、それを誇りに思って、それをどうやって ”解釈” して自分の ”価値” を見出したらいいんだろうということを考えてほしいです。」


おわりに 

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「カチカンヲアップデートセヨ」

価値観のアップデートは、既存の価値観を疑ってみることから始まります。「僕・私ってなんでそう思ってるんだっけ?」「何が理由なんだっけ?」「これって、本当に自分の気持ちなんだっけ?」

 「疑う」というとちょっと響きが悪いかもしれませんが、つまりは「当たり前」を問い直すということ。「当たり前でしょ」「みんなそう思ってるでしょ」「そういうもんだから」と思い込んでいることに、問い直してみる。

「え?本当にこれって当たり前なんだっけ?」

 自分で線を引いてつくってしまった「限界の中に閉じ込められた世界」では触れられる世界観・価値観に限りがあります。でも、1歩踏み出してみることで、

「え、私が思ってた当たり前って、
みんなの当たり前じゃなかったんだ!!」

と驚く経験がある。その「1歩」を踏み出す先は、家の外でも、学校の外でも、住み慣れた地域の外でも、海外でも、どこでもいい。でも、自分が今までいたところから1歩だけ踏み出すことで、開ける可能性は無数に存在する。「カチカンヲアップデートセヨ」という言葉から、筆者はそんなことを感じました。

 身の回りに潜むバイアス、そこから私たちが受けている影響を知り、バイアスを認識した上で自分自身をどう振り返るか?を学んだ高校生たち。「なぜ?」「どうして?」をもう1段深堀りすることで見えてくることがあるかもしれません。モヤモヤした気持ち、ムズムズした気持ち、ワクワクした気持ち、挑戦したい気持ち、変わりたい気持ち...。その気持ちの裏側にある「価値観」を深堀りしてみると、新たな選択肢が浮かび上がってくるかもしれません。もしかしたら、その選択性の1つが「地域みらい留学365?」なんてこともあるかもしれません。

 自分をバイアスから解き放って、自分自身としっかり向き合ってみることが、自分が本当に願っていること・場所を見つけるKey(鍵)になるかも。

「カチカンヲアップデートセヨ」

 ぜひ、自分が自分らしく、伸び伸びできる進路選択をしてください!

※ 本記事は、2020年8月25日に開催された「地域みらい留学365✕ミネルバ大学生 Minerva Japan Caravan 2020 ~カチカンヲアップデートセヨ~」のイベントレポートです。


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「地域みらい留学365」について
もっと知りたい!という方へ

 少しでも気になったら、まずは地域で学ぶ高校生に出会ってみましょう!
「地域みらい留学365って?」「国内留学ができるの?」「地域で学ぶ高校生活面白そう!」そんな方へ、イベントのお知らせです↓↓

9月12日 (土) に「地域みらい留学365」にご興味がある高校1年生・保護者の方向けに、留学先12校の在校生によるトークセッションを開催致します。こちらのサイト↓↓↓からお申込みの上、ぜひご参加ください!
(※事前登録制/参加費無料)


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地域みらい留学365とは?
 内閣府と(一財)地域・教育魅力化プラットフォームが共同で今年度から立ち上げる、日本初、高校2年生向けの国内単年留学の仕組みです。留学を希望する学生は、高校2年生の1年間、住み慣れた土地、親元を離れて、日本国内の地域の公立高校で過ごします。都会では味わえない本物の自然や文化に触れ、新たに出会う友達や、世代を越えた多くの仲間たちと共に、地域ならではの魅力を肌で感じ、生きた課題に向き合う1年間。こうした経験を通し、その後の高校生活や人生にも繋がるような、「自らみらいを創る力」を育みます。

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