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【高2留学】いやだ、帰らない、ここを乗り越える|後編|地域みらい留学365

高校2年生の1年間を、在籍校とは別の地域の公立高校で過ごすという、日本初の国内単年留学である「地域みらい留学365」。
現在、この制度を使って、大阪府から山形県立小国高等学校に、に留学している二宮緋毬さんにお話を聞いてみました。前回の記事で、不安や苦悩を乗り越え、心配する親御さんに「いやだ、帰らない、ここを乗り越える」と言い切った経験を語ってくれましたが、今回はより深い話を聞いてみたいと思います。

人に流されず主体的に動くけるように

―不安も乗り越えて、留学生活中でこれは頑張ってるって言えることはある?

緋毬さん 頑張ったと言えるかはわからないけど、誘われたことには全部出るというスタンスをとってる。それも“楽しい”があるから、「行きます!やります!」と言えるんだけど!地元の人と交流をもって、顔を覚えてもらうって大切かなって。

―たしかにたしかに

緋毬さん 自分から楽しさを見つけていかないといけないかなって思って。町や移住者コミュニティ「つむぐ」にいる大人を見ていてそう思った。ゼロから何かを創っている人の姿を見て、自分から動き出さなきゃなって感じていた。

―うんうん

緋毬さん だから自分からイベントに参加してみたり。「楽しくやる」ということを、自分の中で大切にしながらやってきていて、それが頑張れたことというか、頭に置きながら過ごしてきたことです。

―すごいね、地方に1年間留学してみる価値って何だと思う?

緋毬さん 親元を離れて、自分で考える力がつく。単独行動することが怖くなくなった。主体的に何かしようとか何か創り出そうというときに「誰かがいないと無理」「あの子がいないと嫌」「あの子がいるなら私も行く」というのが無くなったなって。

―自分らしさを大事に動けるようになったということかな?

緋毬さん そうですね。少数派だからということで、流されないでできるようになったかなと思いますね。

―素敵だね、そういうところも踏まえてこの留学生活で変わったなって言えることは?

緋毬さん 大人と話すことが怖くなくなったなっていうのは大きいかも。これまでは、家と学校の往復で、話す人や関わる人が限られていたと思うんですよね。知らない人だらけだから、大人に頼るしかなくて、そのうちにその大人の友達を紹介してくれたりイベントに連れて行ってもらったり(笑)

―面白いね(笑)

緋毬さん 人に恵まれてたからだとも思うんですけど、高校生と関わる時間より大人と関わる時間が多かったり、気がついたら周りが大人ばっかりだったり(笑)大阪にいたままだったら、先生とか親の知り合いくらいしか大人と関わることがなかったし、そういう意味でのコミュニケーション能力がついているのかなあって(笑)

将来に対して起きた考え方の変化

―そういう地域とのかかわりの中で進路とか将来への考え方って変わってきた?

緋毬さん だいぶ変化しましたね!もともと医療系に進みたいと思っていたんですけど、その道に対しても、ただぼんやり「医療系にすすみたいなあ」ってくらいで。

―うんうん

緋毬さん でも、こっちに来て、地域おこし協力隊の存在を知ったり、地域のために動いている大人だったり、町おこしについて考えている人だったり、“カッコいい大人”の姿を見て、そういう人って「好きなことを突き詰めている」とか「楽しくて仕事やっている」んだなって思って。こういう風に仕事ってできるんだなって知って。私自身も「好きを仕事」にできたらいいなとか、それが「町おこし」に繋がればいいなって。

―なるほど

緋毬さん 大阪にいた時から将来も地方で暮らしたいと思っていたので、地方でできる仕事って何だろうっていうヒントをもらえたし、“地域に対して何かできることをしたい”ということが基盤になりましたね。

―じゃあ、大学や専門学校とかの先々の進路も見据えるところは変わってきた?

緋毬さん そうですね。もともと医療系の専門学校かなあとか思っていたけど、今は4年生の大学に行きたいなって。山形の東北芸術工科大学に行きたい!って思ったりしています(笑)

―へえ~そうなんだ(笑)

緋毬さん 芸工大だったら、小国にも行ける範囲だし、かかわりを持ちながら過ごせるなっていうことは大きかったりしますね。

―なるほどね、ちなみに3年生になって大阪に戻ってやってみたいことは?

緋毬さん できるかはわからないけど、オンラインで大阪と小国や地域を繋いだりして、交流会をしたりいろんな人とつないだりできないかなって思ったりしてますね(笑)地元のみんなにもいろんな人と話す楽しさを知ってもらいたいなって思いますね。

都会へ人が流出することに対する仮説

―緋毬さんが今感じる「課題」とかはあるかな

緋毬さん 小国自体が保小中高一貫教育を行っているんですね。それだけコミュニティができ上がった中に数名の留学生が来ても、受け入れてくれる面もあるけど、かかわろうとしなかったり、排他的な部分があるのかなって。

―そうなんだね

緋毬さん 比べることではないかもしれないけど、例えば大阪だったら転校生が来たらドンドン話しかけに行ったりすると思うんですね。でもここではなかったなって。

―うんうん

緋毬さん 国際交流したり、オンライン交流があったり、私たちのような国内留学生の受け入れがあったり、多様性をうたったりはしていると思うんですけど、そういう面もあるんで。だから、地元生がもっとオープンになる仕掛けも作っていった方がいいんじゃないかなって思ったりしますね。

―そういうところに気がつけているんだね

緋毬さん あと、「私、田舎の子だから」「私、地方の子だから」とすごいコンプレックに感じているような発言が多くて。地元に対してコンプレックスが強いからこそ、都会に出て行っちゃうんじゃないかなって思いますね。そういうところも考えて、変えていけたりしたらなって思いますね。

―なるほど、すごい気づきだね。

楽しもうって気持ちさえあれば

―最後に聞きたいんだけど、今後の留学を考えるような後輩に向けて何か声をかけるとしたらどう?

緋毬さん う~ん、難しいけど、とりあえず楽しむ気持ちがあったら何とかなる(笑)実際、楽しもうって気持ちさえあれば、意外と何とかなったし、結局は自分次第だから。不安があっても笑ってたら何とかなるよ(笑)

―やったからこその言葉だね!ありがとうございました!



<後編・編集後記>
頻繁に“楽しむ”ことへの言及をする彼女。その裏には、前編で紹介したような不安や葛藤とぶつかった経験があり、それを乗り越えたからこそ、心から“楽しい”を言葉で表現できるのでしょう。そこには、大阪の日常では会うことはなかった、地域の大人の“楽しむ”背中が大きく影響を与えています。高2国内留学というものの価値はこうしたところにあるのだと感じます。これだけ地域課題にも気づきが得られている彼女が、大阪に帰ってからの活躍がさらに楽しみになりますね。(取材:地域・教育魅力化プラットフォーム 及川真央 / 編集:地域・教育魅力化プラットフォーム 小谷 祐介)


<継続募集情報>

今年度募集においては、継続募集を実施中の学校もあります。現高校1年生(来年2年生)で少しでも気になった方は、是非このチャンスに一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

<高2留学 経験者が語る アーカイブ>


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