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地域みらい留学LIVE「高校生活を日本の田舎に留学する価値を問い直す」 開催レポート!

地域みらい留学LIVE「高校生活を日本の田舎に留学する価値を問い直す」と題して、地方に対して様々な仕掛けをしてきている方をお呼びしました。
ご参加いただきました中学生や保護者の皆さま、ありがとうございました。
開催レポートをお届けします。

《対談メンバー》
◆若新雄純 : 慶応義塾大学 特任准教授
◆森山円香 : 一般社団法人神山つなぐ公社 理事・ひとづくり担当
◆菅野祐太 : 大槌町 教育専門官
◆今村久美 : 地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表
               (認定NPOカタリバ代表理事)

−神山町の場合−

今村:まずは森山さん、お願いします!

森山:私がいる神山町は、徳島県の山間の町です。城西高校神山校は、「地域とともに学ぼう」ということを打ち出していて、神山創造学というオリジナルの授業を作りました。庭造りの授業でどんぐりを拾ってきて木を育て町の住宅の植栽工事に関わったり、お年寄りのお家で造園技術を生かしたアルバイトをしています。
 また、地域留学をしてくる生徒のためには寮を準備しています。林業に興味がある、大学生のお兄ちゃんの影響、川の綺麗さに感動した、など地域留学の動機は様々です。
 高校生は部活や塾で地域に参画しなくなる年代ですが、地域留学生はここに住んでいるので土日は田植えをしてみたり、お手伝いをしてみたり、いろいろなところに呼び出されます。
 また、自分たちで暮らしを作るので、朝ごはんや晩御飯は自分達で作ります。最初はみじん切りに40分かかっていたところから、手料理を町の人たちに振る舞えるまでになりました。(アーティストの)オランダ人の女性や役場の課長さん、町長さんも食べにきてくれました。

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若新:学校の先生と地域の大人たちは仲がいいんですか?
 人口が少ない町だと大人同士が信頼ある関係性の中で体験の場所を紹介してくれるというのもあるし、神山では分野が違う大人の連携がうまく行っているのかなと思います。

今村:でも自然にやっていて連携が取れるようになったわけではないですよね?

森山:連携は、すごく意識をしているところです。
 学校の先生でも町に住んでいる人は数人しかいないし、町の子達も通っている子が多くないから、関わりどころがなかったんですよね。でもそこにつなぐ私たちのような組織ができて、町の中の子供をちゃんと育てる状況を作っていこうよ、という合意を取ったというのは大きいと思います。

今村:仕掛ける人がいて初めて、元々あるつながりがつながりなおすということですね。

若新:学校と学校以外の時間を上手に有機的につなげることが学ぶことができている地域は、大人の連携がうまく行っていると感じています。地域みらい留学をするなら、立派な施設があるとか、情報があるかよりも、まちが連携できているかが大切だと思っています。

森山:象徴的な出来事で、学校の体育館で土曜日、地域の大人たちと一緒にバスケをした、というのがありました。
 町民体育館にはバスケの設備がありません。そこで、地域みらい留学をしてきた男の子が熱意を持って先生に何度も掛け合い、最初は否定的だった先生も最終的に体育館使用の許可を出してくれました。意欲を持って、発言できる子が少しづつ増えていくと、大人たちも呼応して変わっていくという事例でした。こういうことができるんだ、というのも、クラスメイトにとっては刺激になっていくんじゃないかと思います。

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若新:これからの重要なポイントは、放課後のあり方だと考えています。
 放課後は予測不可能なことが起こる時間、学校は全てがプログラムされ予測可能なことが起こる時間です。本当にどこにいっても活躍できる人は「予測不可能なことを乗り越えることができる」ということが大切だと思っています。
 神山の子達も、想定外のことが起こるその環境が、価値観を変えてきたんじゃないかという気がします。


−大槌町の場合−

今村:もうお一方、菅野さんはいかがですか?

菅野:私は横浜で生まれ、塾に通わされ、「勉強しなければいい大人にはなれない」と言われてきました。そのまま早稲田大学に進学、大手企業に就職しました。
 地域みらい留学に関わるようになったのは、東日本大震災がきっかけでした。岩手県大槌町でNPOカタリバが放課後の塾を作るというプロジェクトに参加をすると、都会では絶対こんな子は育たなかったと思うような子がすごくたくさんいました。個人商店を元気にするマイプロジェクトというのをやっている子がいるんですが、僕が都会に住んでいる時は、自分の商店なんかありませんでした。自分の店、というこのリアルな体験をしているような子がすごくたくさんいるなと感じました。

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菅野:高校を徹底的に面白くしたいということで、「三陸みらい探求」というものを授業の中でしています。これは、マイプロジェクトという、自分の地域の課題を自分で解決していく取り組みです。地域の前でこの探求の成果を発表する際には、120人、人口の1%以上の人が集まりました。実際にプロジェクトをやったおばあちゃんがすごく喜んで泣いているなど、「喜んでいる人が見える」ということや、教育に興味がある子が教育委員会の人と話ができるような「取り組んでいる人に直接話が聞ける」のも地方の良さだと考えています。
そして何より、一緒に笑いあえる仲間がいます。誰かと比べることを知らず、みんな和気藹々としているのが良いところです。そんな地方であれば都会の子を救えるのではないか、ということで、今年から地域みらい留学を始めました。

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今村:被災地という枠で大槌町を知った人も多い中で、被災地で実際起きていること、震災後どう立ち上がっていくのかも学べそうですね。どんなポイントを大槌の魅力として語ろうとしていますか?

菅野:復興は一つテーマにしようと思っています。復興に向かう際、大人の意見が食い違うところを子供は見てきました。それを題材にしようと思っています。
 あとは、海があること。都会にはない自然を題材にしようと思いました。

若新:この町の魅力はなんなんだ?ってなりますよね。魅力は、その場でなんとなくいいなと思うものなので、明確なものにしなければいけないものでも言語化できるものでもないと考えています。
 都会は行動や価値観(=魅力)が明確になっていないと、マーケットが成立ません。ですが、地方の町は言語化できていないけど何か感じるものがあるとか、大人たちがまだ言語化していないものを子供達が自由に解釈したりとか、いろんな活動に多様に結びつけていけるのが地方のいいところなんだなと思います。


−非線形な学び、とは?−

今村:若新さんはいかがですか?

若新:非線形な学びを推奨しています。
 線形というのは従来の一定の割合で結果が出る、時間とともにデザインされていて逆算してやっていく世界です。このやりかたも大切ですが、競争と序列が生まれます。
 一方の非線形というのは、予測不可能な世界、終わってみないとわからない世界です。世の中の人間の全てのことは大体非線形です。これどうなるんだろう、わかんないけどおもしろそう、の先には、必ず何かを発見する、と研究の結果わかってきました。
 地方の町での学びは、成果があるかどうかよりも、発見にあふれた時間を過ごせるかどうか、その子らしい成長ができるかどうかで、ある程度大人が見守ってあげて、安心安全な中ではてなを楽しむというような学びのあり方だと思っています。

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今村:面白いですね。
ちなみに、本来であれば大企業で偉くなっていったりできる方々だと思いますが、地方に行って、正直なところ「楽しい」って言いきれますか?

森山:言い切れますね。無理やり世界観広げられちゃう感覚があって、意識せずとも色んな人にあっています。アーティストさんと会ったり、五右衛門風呂作ろうぜって言っていたり、予定調和じゃない世界が広がっていて、それを楽しんでいる大人が多くて、高校生がそこにも飛び越えても大丈夫だと思えます。それが推せるポイントだと思います。

若新:この回も、何が結論だったかを無理に決めるんじゃなくて、聞いていただいた人が感じたことに、その人らしさがあればいいと思います!

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今村:本日はお越しいただきましてありがとうございました!


※本記事は、2020年7月25日・26日の『地域みらい留学フェスタ2020オンライン』の事前対談です。昨年まで、東京・名古屋・大阪・福岡で開催していた地域みらい留学フェスタが、オンライン開催で帰ってきました!高校3年間地域で学ぶ「地域みらい留学」と高校2年生の1年間地域で学ぶ 「地域みらい留学365」。オンラインだからこそ気軽に参加していただけるように多くのイベントをご用意しています。ご関心がある方は是非、ご参加ください!(参加費無料・事前予約制)


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